浜田省吾デビューアルバム「生まれたところを遠く離れて」が2026年リミックスとして帰ってきた。
不器用さと荒削りさが浮き出るにまかせていたようなオリジナルが、2026年のリミックス技術ですっかり生まれ変わった。声はデビュー当時のままだが、丸みが増したと同時に音霊の迫力がまるで違う。まったくの別物とさえ思えるほどだ。
浜田省吾はかつて「初期のアルバムはなかったことにしたい」とまで口走ったという。当時の技量、環境、彼を取り巻く諸々の条件下では表現しきれなかったものを、50年経った今、彼自身をはじめ、彼をリスペクトしつつ惜しみなくサポートする仲間たちの手でやっと作り上げられたのだろう。「こうしたかったんだよ」と。
アルバムタイトルになった9曲目「生まれたところを遠く離れて」で彼はこう歌っている。
“そうさ 親父も16の時から
働いて 働いて 働いてきたけど
この世に住む家もなく
その日暮らしの毎日さ”
「働いて 働いて 働いて」
口に出す人によって重みと凄みがかほど天と地の差になる言葉は目下これ以外に見当たらない。
ここに先立つ「16の時から働いて」きた父親の言葉がまた凄い。
“お前にゃどうせわかるまい
鉛色のその目じゃ!”
「君は、この言葉を真正面から深く受け止められるほど、腹が据わっているかい?」
奇しくも彼の名前「省吾」は「吾を省みる」
何度も聴きながら、省みることにしよう。


