「教養」への欲求
いま日本では、教養を身につけることに対する潜在的な欲求がかつてなく高まっているようです。
その証拠の1つに、「中田敦彦のYouTube大学」の大人気が挙げられます。日本史、世界史、現代社会、政治経済、文学、話題になった書籍、歌舞伎・落語などの日本文化に至るまで、幅広いジャンルを網羅しています。「いつか学ぼうと思っていた」「今さら聞けない」という類いの情報が、絶妙なコンパクトさと巧みな話術でわかりやすく解説されています。
それらのテーマの中から、特に落語と書物(いわゆるメジャーなもの以外も含め)に関する話題に焦点を絞り、そのあらましや考察を分かち合うのがこのブログの主な目的です。
なぜ落語?
私が生まれて初めてしっかり落語を聴いたのは1996年で、そのときあまりの面白さに衝撃を受けて以来すっかり落語の虜になり、気がついてみればのべ3,000題にのぼる膨大な落語音源のコレクションができ上がっていました。かつて東京在住の折には、しばしば寄席にも足を運びました。落語は、人間らしい楽しみや滑稽さをはじめ、今や忘れられつつある価値観のほか、かつて広く庶民が共有していた教養の宝庫です。現代ではなかなか理解されにくく、一般にはもはや通用しにくい考え方や慣習が噺に織り込まれていることも少なくありません。しかし、時代が移っても変わらぬ道理を垣間見られる噺もまたふんだんにあります。ただシンプルに落語が好きで、それらの楽しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと思ったのが、ブログの題材として落語を選んだ理由です。
また書物の中にも、ベストセラーとして大きな脚光を浴びることがなくても、優れた作品はいくらもあります。そのような書物や落語のうち、興味を惹かれ、楽しく、健全で有意義でいくばくかの学びを得られたと感じたものだけをご紹介します。面白いと思わなかったものについて批判めいた論じ方はしたくないし、できないし、すべきではありません。噺家さんたちが自らの芸を「お客さまの縁起を祝う商売」と捉えておられる姿勢を模範としたいからです。
このブログが、何らかの形で、日本人が備えておきたい「健康で文化的な最低限度の教養」を享受しつつ、隠れた「理に照らし」ながら世の中や人のありようを捉え直せる場(理照庵)になることを願うばかりです。
落語→書籍→落語・・・と順繰りに1題、1冊ずつご紹介していく予定です。よろしくお見知りおきのほどお願いいたします。

